「あのね、先生、不思議なんだけど」
「ん?」
「今までさ、インド占星術でいろんなことを見てきたじゃない」
「うん」
「でね、たとえばぼくが明るいタイプだとして……それって一生変わらないの?」
「本質という意味ではそうだねぇ」
「けどさ、人の心は移り変わるって言うじゃない」
「言うねえ……そして、そういう意味だと変わるね」
「だよね、たとえば今は明るい気分だけど、とかあるよね」
「あるね。本人の問題だけじゃなくて、人からどう見えるか、っていう点で考えると、よけいに変わるよね」
「そっか。今は好かれてるけど、一ヵ月後には嫌われてるかも……ああ、ぼくも嫌われちゃうのかなぁ」
「忙しいな(笑)」
「でもさ、そういうのってどうやって占うの?」
「ちょっとこれを見てみて」
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「これ、今この瞬間のホロスコープなんだ」
「今この瞬間?」
「そう。今この瞬間」
「へえ。これを使うの?」
「うん。『新釈インド星読ミ占』では『今の星をみる』って呼んでる占い方だよ。インドではプラシュナっていうんだけど」
「たとえばどんな風にみるの?」
「さっきの話でいうと、今五室が『月』だから、好きな人の心は移り変わりやすいかも、とかね」
「ええええええ」
「いや、おおまかにみてだから、そうと決まったわけじゃないよ」
「えーでもさあ」
「だってほら、『月』には優しさとか安らぎっていう意味もあるしね」
「あ、そうか」
「ところでさあ」
「ん?」
「バレンタインのチョコレートはもらったの?」
「教えなーい」
「……もらったんだ。よかったね!」
「なんでわかるのさー」
「誰だってわかるよ(笑)」
「でね、先生」
「ホワイトデーのお返しは喜んでもらえた?」
「先生すごい!! なんでわかるの!!」
「絶対誰でもわかるってば……」
「でねでね、喜んでもらえたんだけど」
「やったじゃん」
「だからね。今度デ、デ、デ……デートに誘おうかと思うんだ……」
「誘えばいいんじゃない?」
「無理だよ……」
「何事もチャレンジだよ!」
「だって……断られるかもじゃん……」
「そんなときこそ『今の星を読む』だよ! 不思議なんだけど、知りたいと望む気持ちが強いときほど、星はよりはっきり真実を映し出すんだ」
「じゃあ、さっそくやってみる!」
「……あいかわらず立ち直り早いなぁ(笑)」
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